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2012年10月08日

プレフィルターの寿命について②

逆浸透膜式の浄水器のプレフィルターには5ミクロン・1ミクロンの繊維フィルターの他に活性炭フィルターが必ず装備されています。

この活性炭フィルターも逆浸透膜保護について重要な役割があります、その役割は水道水の場合にその重要度を増すことになります。ご存知のように日本の水道水は塩素を投入する事によって消毒を行なっています。塩素消毒を行う事によって殺菌し、細菌由来の疾病を抑制するという衛生的に非常に重要な役割があるのです。

水道水に残留する遊離残留塩素はいわゆる塩素臭を発生し、その臭気から水の味を損なう要因となってしまい、肌の弱い方や皮膚疾患を持つ方には時に耐え難い刺激となります。

実は逆浸透膜を構成するポリアミド樹脂も塩素に弱い性質を持ちます、時間のスケールとしては数千時間の単位ですが長期間遊離残留塩素に曝されると、次第にポリアミド樹脂が溶けて膜が薄くなってしまいます。

これが逆浸透膜式の浄水器に於ける溶解型の膜劣化です、この場合は目詰り型の膜劣化と異なり、浄水器の蛇口からは通常以上の造水速度で浄水が出てきますが、TDSメーターで計ると除去率は低下しています。

このような溶解型膜劣化を抑制する為、逆浸透膜フィルターの手前には活性炭フィルターを配置する必要があります。

では浄水器のプレフィルターとして配置された活性炭フィルターの交換時期はどのように判断するのでしょうか? 実はこれも明確ではないのです。正確に数値で判断しようと思えば逆浸透膜フィルターの手前で浄水器の水を採水して遊離残留塩素濃度を計れば良いのですが、毎月あるいは毎週、塩素濃度を測定するのはかなり面倒です。

活性炭フィルター製造元のデータ、一般的な家庭での使用量から計算すると3~4年位は優に持つと推定できます。一般的な浄水器と比較すると通水速度が遅い事も逆浸透膜浄水器の場合有利に働きます。

但し、ここで製造元のデータを鵜呑みに出来ない部分もあります、このデータは他の不純物が存在しない超純粋へ塩素を規定量投入して除去性能試験をしています、河川水や地下水を水源とした水道水には実に様々な不純物が含まれています。

活性炭の塩素処理は遊離残留塩素を炭素に触れさせる事による化学反応で刺激性の無い塩素イオンに変えるというのが塩素処理の仕組みで、一般に言われいる様に活性炭へ吸着している訳ではありません。

この処理方法から考えると、遊離残留塩素が「炭素に触れなくなる=除去率が下がる」ということになります。水中の不純物が活性炭の表面へ付着し、遊離残留塩素が炭素へ触れる確立が減れば、除去率は下がってしまいます。

不純物が多い実際の水道水では除去性能試験通りの結果は期待出来ませんから割り引いて考える必要があります。では実際の水道水に近い条件で実験を行えばとお考えになるかも知れませんが、水道水の蒸発残留物濃度1項目をとってみても関東地区内で20ppm~200ppm超と幅がありすぎますのでそれを再現する事も意味を持たないでしょう。

また日本で遊離残留塩素濃度が蛇口のところで1リットル当たり0.1mg以上残留している事と規定されていますが横浜市水道局のデータをみても浄水場では0.7~0.8mgと大量に投入されていて使用している各家庭での濃度も基準値以上となるでしょう。

メーカーのデータでは1ppmや2ppmといった遊離残留塩素濃度で行われていて、これは簡易換算で1リットル当たり0.1mg、0.2mgに相当しますから不純物、遊離残留塩素濃度の面からデータをそのまま現実の浄水処理量に当てはめてしまうのは危険があります。

このような点を踏まえると、データ上では3~4年使えそうな活性炭フィルターですが、アクアカルテックでは実用の耐用期間として50%位で考えているので、1年に1回のプレフィルターの交換をお勧めしている訳です。

もう一つ有利な要因として、逆浸透膜浄水器のプレフィルターとして活性炭を使用する場合は遊離残留塩素のみ処理できれば必要十分で活性炭の働きとして重視されるトリハロメタンなどの塩素副生成物や鉛除去などは全く必要としない事です、これらの物質は逆浸透膜を通過出来ませんからここで除去する必要がありません。

何故、これが有利な要因かというと、通常活性炭は塩素の反応処理に比べてトリハロメタン等は吸着となるため、除去効果が持続する期間が塩素の半分以下となります。つまり塩素処理だけで考えれば活性炭の寿命は非常に長く想定出来る訳ですが、一般的な浄水器の様に活性炭へトリハロメタンなどの吸着を担わせる場合は、トリハロメタンなどの除去でフィルターの耐用期間を設定しなければなりません。

アクアカルテック

投稿者 aqua : 2012年10月08日 09:35