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2013年06月27日

津波の塩害対策で逆浸透膜式の浄水器を②

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一日にトン単位の水量が必要となると、基本的には工業用の大型浄水器が必要となりますが、逆浸透膜の大型浄水器は数百万クラスのコストとなりますので農家の方にとってはコスト負担が大きすぎます。

そこで比較的安価な価格設定をしているアクアカルテックの逆浸透膜浄水器ならどうか、と実証実験を行う事となりました。

弊社最大の浄水器であるLC600HP/SEでも時間当たりの浄水能力は80リットルほどですから1基の浄水器ではとても足りません。一基目で地下水の塩分が逆浸透膜式の浄水器で充分除去出来る事は確認出来ました。除去率としては90%位の値です、そうなると後は水量の問題が残ります。

簡単な対応としては一基で足りなければ二基で水量を確保する事になりました、二基でも決して余裕のある水量ではありませんが、二基の浄水器のコストは100万円以下ですので、工業用の逆浸透膜浄水器を調達するよりはかなりローコストに納まります。

現場では一旦、地下水をくみ上げて貯水タンクへ貯めて、貯水タンクから配水ポンプで浄水器へ給水します。浄水器では浄水と排水が出てきます、浄水は貯水タンクへ貯めて農作物への散水に使用します、ここでは苺の栽培へ使用します。

一方、排水は純水を抜き取った分、塩分濃度が倍くらいに濃縮されていますので、その辺に撒いてしまうと、また地下へ浸透してしまいますので、20m以上ホースを延ばして排水路へ捨てる様にしてあります。

アクアカルテック

投稿者 aqua : 12:05 | コメント (0)

2013年06月26日

津波の塩害対策で逆浸透膜式の浄水器を①

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宮城県の岩沼市へ行ってきました、写真は太平洋岸から2~3km位の地面の写真です。地表面に霜の様に見えるのは津波の海水で運ばれた塩です。

この塩が地下水へ入り込み農作物の栽培に大きな影響を及ぼしています、2年以上経過した現在でも地下水の塩分濃度は依然として高くハウス苺などの栽培には使用出来ない状態です。

水道を整備するには多大なコストを必要とするため整備が進みません。

ここでは弊社の逆浸透膜式の浄水器による塩害地下水浄化の実証実験が行われています、逆浸透膜浄水器は元々海水を淡水化する為に開発された浄水器ですから地下水からの塩分除去も当然に行える浄水器だとお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、海水淡水化用の逆浸透膜は淡水用の浄水器に使用される逆浸透膜とは種類が異なります。

海水用の逆浸透膜はSea Waterメンブレン、Brakishメンブレンなどと呼ばれます、海水用と淡水用で逆浸透膜の種類が異なるのは、海水と淡水では不純物濃度が大きく異なるからです。

淡水の場合は不純物濃度が高くても数百ppm単位ですが、海水の塩分濃度は3%ですから、これはppmに換算すると3万ppmとなり、大変な濃度な訳です。

海水用浄水器の逆浸透膜は巨大プラント設備を除き、日本には殆どありませんし、海外でも調達が難しいのです、当然海水用逆浸透膜を運転する為に設定された浄水器も必要になります。

地下水に浸透した塩分濃度は海水の様に高濃度ではありませんので、調達しやすい淡水用の逆浸透膜浄水器で対応出来ないかというのが本実証実験の目的となります。飲料用では無く畑への散水用ですから一日の使用量としてトン単位の水が必要となります。

工業用の逆浸透膜式の浄水器ならトン単位の水量を得ることも難しい事ではありませんが、一般的に数百万円のコストを必要とします。そこでコストの安いアクアカルテックの業務用浄水器を使用して対応出来ないかとお問い合せを頂いたのが始まりです。

弊社の業務用浄水器で最大の浄水器はLC600HP/SEです、LCはライト・コマーシャルの意味で軽業務用の位置づけの浄水器と考えています。24時間連続稼働させれば2t弱/日の造水が出来ますが、24時間連続で稼働する様な事が続けば、浄水器は直ぐに故障してしまうでしょう、連続稼働を想定した浄水器では無いからです。

LC600HP/SEでの最大使用量/日は500~600㍑位までが想定使用量の浄水器です。

アクアカルテック・ホームページ

投稿者 aqua : 17:39 | コメント (0)

2013年06月17日

TDSメーターの数値について

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逆浸透膜式の浄水器は他の浄水方式と異なり、除去性能を測る事が可能です、これは一般的な浄水器が除去出来ない溶解性物質、イオンをも逆浸透膜は分離除去出来るからです。

水に溶解したイオンを除去出来ない浄水器は水に溶けた放射性物質を除去する事は出来ません、これについては以前ブログに書きました。

弊社ユーザー様でもTDSメーターをご購入されて、浄水器の性能を定期的にチェックしている方もいらっしゃいますが、ここでご注意頂きたいのは、3ppmとか5ppmとか、浄水の数値だけに目を向けてしまうのはあまり得策とは言えません。

「いままで3ppmだったのが、6ppmになってしまったので逆浸透膜フィルターを交換したい」の様なご相談を頂くことがあります。

まず第1にTDSメーターが計測器として、それほど厳密な計器ではありません、使用している内に計測値がずれてしまう事はもちろんあります、300ppm等、決まった数値にTDS濃度を調整した校正液などで数値調整を行えるのですが、基本的にTDSメーターの個体差、つまりメーター毎に数値のズレは有るモノと考えて下さい。

弊社スタッフもTDSメーターが示す数値の利用方法は、原水(水道水・地下水)と浄水器を通過した浄水との比較です。原水のppm濃度に対して浄水のppm濃度が5%内外に納まっているかどうかで除去性能の善し悪しを判断しています。

これならば感度の異なるTDSメーターでも概ね一定した除去率となります、浄水の数値の低さだけを求めるのは意味がありません。

より正確な浄水器の除去性能を把握するため、弊社メンテナンスの時には浄水蛇口以外の場所から浄水を抜いてTDS濃度の計測を行っています。逆浸透膜通過後には後処理フィルターとして活性炭を通過しますから、活性炭からの溶解物質がTDS数値を上昇させる場合がありますので、まずその要因を排除する為に、逆浸透膜直後の浄水を計測します。

具体的には写真の様に浄水器から貯水タンクへ行く経路の黄色チューブを外して、この黄色チューブから出る浄水を計測します、この時も3~4分流しながら何回も計測します、最初、少し高めに出ていた数値が計測する毎に少し筒ずつ下がって行きます。

数値が下がらなくなったら、それを最終的な浄水器の除去性能として記録します。

逆浸透膜浄水器は運転時には電動増圧ポンプで水圧を掛けて逆浸透膜分離を行っていますが、停止時は膜に対する水圧が緩んでくるため、逆浸透から浸透現象へ移行してしまいます。逆浸透膜周囲の水のTDS濃度が原水に近くなってしまう訳です。

それが影響して浄水器運転開始時のTDS濃度は少し高めに出る傾向があります、ですので浄水器の運転開始から数分は待たないと正確な除去率を計測する事が出来ないのです。

毎日、回転よく浄水器を使っているお客様は浄水蛇口から採った水を計測しても低い数値が出ますが、使用量の少ないお客様だと浄水器停止時の浸透現象の影響や、後処理フィルター内での滞留時間の長さからくる溶出物の増加などで、あれっと思ってしまう数値が出ることがあります。

TDSメーターの数値が悪いからとあわてずに、良く水を流してから計測されたり、使用量で思い当たる事がある場合は浄水器の水を一度全部捨てて、新たに貯まった浄水を良く流しながら計測されると良いでしょう。

アクアカルテック

投稿者 aqua : 10:06 | コメント (0)

2013年06月11日

浄水器の純水を製品に使用したい

より高品質の商品を作ろうとすると水の質が問題となります、水中に不純物があれば、その不純物が意図しない反応を起こして製品の出来に影響を与えてしまいます。

そこで浄水器の出番となるのですが、一般的な精密濾過膜の浄水器ではバクテリアや錆などの大きな不純物を分離する事は出来ても水に溶けた溶解性物質は殆ど除去する事が出来ません。これは精密濾過膜の孔径からくる物理的な理由です。

水に溶けたイオン性物質は0.001ミクロンより小さいので、0.01ミクロンの精密濾過膜の浄水器では素通りしてしまい分離する事は出来ません。

元々の原水がわき出る清水の様に不純物濃度の低い水でしたら精密濾過膜でも必要充分な水質が得られる場合もあるでしょうが、河川水を原水とした水道水や一般的な地下水を原水としている場合は逆浸透膜式浄水器の出番となります。

要はイオン濃度が低く、純水度が高い水を使用されたい訳です。

純水度の専門的な指標としてはμS/cmという単位が用いられます、これは電気伝導度、電気の流れにくさを表しています。弊社スタッフが除去性能検査に使用するTDSメーターのppm表示も電流量をppm換算して表示していますので、基本的には同じものを測っています。

製造者の方がお知りになりたいのは浄水器を通した浄水の電気伝導度がどの位の値になるか、それによって製品に使用出来るか出来ないかの判断をされる訳です、飲料調理用での浄水器使用なら感覚的な部分のみで判断されてしまう場合もありますが、感覚には個人差がありますので、疑問を感じるご判断に出会う事も多々あります。

製造で水を使う場合は感覚ではなく、数値的な指標が求められます。浄水の電気伝導度は原水の電気伝導度に比例します、逆浸透膜浄水器の場合は95%除去がアベレージとなりますから、原水の電気伝導度から95%低減した値が想定値となります。

大容量タイプの浄水器を使用される場合は90%低減位でお考えになると宜しいでしょう、逆浸透膜式の浄水器は膜に対して水圧を掛けて水分子を浸透させる、逆浸透現象をおこのですが、停止時は膜に対する水圧が下がり、膜周囲では逆浸透から浸透へ移行して原水に近い浄水が出来てしまいます。
この現象の影響を小さくするため、逆浸透膜ハウジングの浄水出口には逆止弁を設置しているのですが完全ではありません。

大容量逆浸透膜は膜面積が大きいため、この停止時浸透現象の影響が大きくなりますから結果として除去率が若干低下する傾向にあります。使用量が多く停止時間が短い程、アベレージの除去率は改善しますが、使用量に対して浄水器の容量が大きすぎると除去率が下がってしまいます。

逆浸透膜の後処理にイオン交換樹脂フィルターを通して純水度を高める方法もありますが、使用量が少ない(20~30㍑/日)場合は家庭用の浄水器で時間を掛けて造水した方が安定した除去率で純水を造ることが出来ます。

毎日の使用量が一定しない場合はピークに合わせて浄水器の容量を決めなければなりませんが、使用量と浄水システム容量のバランスが重要となります。

アクアカルテック

投稿者 aqua : 09:46 | コメント (0)